作業者は休憩なしには働けないし、又、作業中に作業者の責任でない種々の手待ちが発生する。
そこで標準時間を設定するには、正味時間の他に「ゆとり」をもうけなければならない。
この「ゆとり」を発見する方法が余裕分析であるが、ここではこの分析方法には触れない。
注意すべき点は、いくら正確に正味時間を設定しても、標準時間算出の段階で大雑把な余裕率を用いることにより、正味時間の正確さが薄れ、監督者ならびに作業者の標準時間たいする信頼を失ってはならない。
一般に余裕率は、次のように設定される。

(1)人的余裕時間
作業による疲労を回復する為、又、その他の人間としての生理的、
心理的要求に基づく、やもうえない作業の遅れをいう。
疲労余裕と用足し余裕がある。
(2)疲労余裕時間
作業による疲労のための能率低下の補償として付加する時間で、作業の性質と強度、環境条件等により変化する。
(3)用足し余裕時間
作業には直接関係ないが、人間としての生活上必要と考えられるもの。(用足し、汗ふき、水飲み、他)
(4)作業余裕時間
作業ではあるが、その発生頻度が不安定なものや、単位当たりの時間が非常に小さいもの。
偶発的に発生する複雑な遅れで、ある程度避けられないもの。
①時々行う作業域又は、周辺の清掃
②正常な範囲内での部品のバラツキによる作業時間の増加
③作業誤り等の為の補償時間
④作業に付随する指示、連絡等の時間
⑤その他
(5)付加余裕時間
作業環境、作業姿勢、肉体的強度等の作業条件に対するもの。