従来「原価計算」と言えば、それは実際原価を計算することであり、製品の生産・販売等に実際に要した原価であるから、「真実の原価」であると考えられてきた。

 しかし、それは実際に発生した原価であるから、その中には正常に近い状態で発生したものもあれば、異常な状態で発生したものも含まれる。

つまり、その時・その期間で把握した実際原価は、常に変動している能率・操業度・費用・価格・その他のロス等、あらゆる要素が混在したものである。

従って、実際原価資料をもとに原価管理目的に使用しようとした場合、そこには無理がある。

この実際原価を管理の基準とするためには、先に述べた異常値を排除し、正常な姿での実際原価にしなければならない。

 

 しかし、これは実際には困難である。

 

 また、一方の比較される原価にも、何らかの異常コストが含まれており、結果として正しい生産性の向上等を把握することは出来ない。

特に新製品への移行時期や不況期にあっては、操業度の変化が原価に及ぼす影響は極めておおきい。

その為、経営層の意思決定に際し、正しい原価情報を提供する為には、操業度の修正を行う必要がある。

 

 また、実際原価計算を行う場合、大変な労力と日数を要し、タイムリーな原価情報が提供されない。

さらに、製造工程が長い場合には、前工程の能率が後工程に転嫁され、その部門(工程)の正しい業績評価ができない。

この様な実際原価計算の問題点を克服し、原価管理に役立つ適切な原価情報を提供するために考えだされたのが「標準原価計算」である。