標準原価を、経営管理や原価管理で効果的に運用する為には、原価計算の目的を満足させるとともに、「真実の原価」でなければならない。

故に標準原価を計算するときは、以下の考え方ですすめていく。

 

 (1)第一に、生産物とコストとの因果関係を把握する。

 

   既に明らかなように、「原価とは、経営目的達成のためにおこなった生産・販売活動において、その過程で消費された価値全体」である。

   従って、標準原価計算では、この消費された価値全体のうちのどの部分が、ある特定の生産物の原価なのか、その因果関係を見出すことが必要となる。

   あたりまえのことだが、原価計算の最終目的は、1単位量の生産物を生産したとき、これに関連するコストの額を決定することである。

 

 (2)標準原価とは、その時点において「あるべき姿」のコストである。

 

   言い換えれば、「避けることの出来ないコスト」のみによって構成されなければならない。

   標準原価を構成するコストとは、生産活動において有効な貢献がなされていることが必要である。

   逆に、生産活動に役に立たないコストは、標準原価を構成しない。

   あくまでも、「あるべき姿」というルールからなるものが、標準原価である。

   (さけられるコストは、浪費である。)

 

   従って、標準原価計算は合理的な組織と合理的な生産方法が、その根本となる。

   過去の実績値や単なる現状のデータを積み上げた原価では、標準原価で能率管理を行う尺度にはなりえない。

   このことは、しっかりと頭に叩き込んでおいてほしい。

   いたずらに、安易な方向にすすまないことが大切である。

   標準原価を計算する場合には、合理的な生産をするために避けることの出来ないコストの基準を、科学的・合理的に設定することが必要である。

 

   例えば、作業工数による能率の設定に際しては、WF法等の科学的手法を用いて「あるべき姿」を設定しなければならない。

   もし、ある時点の実績工数を用いて設定した場合、これには「避けることができる」コストが原価に含まれる。

   これでは、標準原価としての意味は失われ、真の原価ではなくなる。

 

   このように標準原価計算では、工数や歩留まり等の条件設定において、「避けることができる」のか、「避けることが出来ない」かの視点に立って基準を設定することが重要である。

 

 (3)標準原価は、すべてのコストにより構成される。

 

  生産活動において消費される、材料費や工数等の直接的費用だけでなく、設備費や部門費等の間接費用も対象となる。

  これらはすべて企業活動において発生する「避けることが出来ない」コストであり、生産する製品で回収しなければならない。