~『生産性向上に欠かせないIE活用術』~
11月上旬に、社団法人 大阪府工業協会様の御厚意で、2日間連続のセミナーを実施させていただくことになった。
(詳細は、当HPのセミナー案内を見て頂きたい。)
このテーマは、私が是非実施したかった内容である。
ここにその思いの一端を述べてみたい。
産業の飛躍的な発展を支えてきたものの一つに管理技術が有り、日本でも戦後から2000年頃まで、企業の近代化に大きく寄与してきた。
その結果、特に日本の製造業はモノづくりで世界を席巻し、“ジャパン・アズNO.1”と言われるまでに成長した。
この管理技術の基礎であり、尚且つ生産性の向上或いはコスト削減の基本になっているのが“IE:インダストリアル・エンジニアリング”である。
IEは、経営管理の考え方や実践手法として、研究・確立されてきた。
そして、その考え方は製造業ばかりでなく、官庁も含めたサービス業や病院等でも用いられてきた。
しかし、20世紀末から産業構造が大きく変わり、ボーダレス化が当たり前となった今、日本の企業は世界各地に工場を持ち、地産地消を目指して活動するようになった。
その際、多様な文化や異なった言語の世界で、有効なマネージメントを実践するために、共通の考え方や管理基準が必要になった。
今年の7月、幸運にもインドネシアに進出している日系企業6社を見学する機会を得た。
いづれも製造業であるが、モノの造り方は各社とも異なっていた。
フリー・フロのコンベアで大量に流れ生産をしている企業もあれば、セル生産を採用している企業もあった。
当然それぞれに管理方法は異なり、各企業が長年培ってきた管理技術が随所に見受けられた。
しかし、見学を終え共通して感じたことがある。
それは、
(1)資源を保有し、労務費が格段に安い環境下で、同じモノを造る競争では、何れ新興国に飲み込まれてしまう。
(2)生産技術や管理技法、改善手法の均質化が進み、新興国との競争環境になってきている。
(3)だが、これらの管理技法や改善手法の使い方を見た時、その用いられ方は断片的であり系統だっていない。
また、手法の誤った理解や実践も散見された。
つまり、かつて日本が導入し確立してきた当時の状況(プロセス・イノベーション)には程遠い状況と思われる。
(それでも、新興国のモノづくり初期段階では、十分効果はでている。)
従って、改善によって本来得られる効果も少ないものになっていると思われる。
彼らがこのことに気が付き、これら管理技法や改善手法を自分たちのものに出来るまでには、今少し時間がかかる。
一方日本でも、長年経営管理の基礎とされてきたIEを研究・発展させてきた世代が退職し、これらの伝承が危惧されている。
また、IEに関する参考文献やセミナ等も減少している。
このような意味合いからも、再度IEの考え方を理解し、手法の基本を身につけ、自分たちの職場で活用し発展させていただきたい。
そして、新たに各企業独自の管理技術・スタイルを構築してほしい。
その為に、是非、このセミナを活用していただきたい。