~『コスト意識』を磨く~

 

 企業は、中・長期の目標を立て、それを実現する為に戦略を立案します。

そして、さらにより具体的な戦術へと落とし込んでいきます。

その戦術の一つに『コスト削減』があります。

私の少ない経験からですが、この『コスト削減』への取り組みは、中小企業よりも大企業のほうが、数段熱心に取り組んでいると感じています。

儲かっている方がしっかり足元を直視し、そうでない方は、足元よりもむしろ外部に目を向けているように感じています。

理由は色々とありますが、今回そこに触れるつもりはありません。

 

 足元を直視するとは、どういうことか。

直視するには、どうすればよいのか。

そして、直視する為には何が必要か。

 

 

(1)あなたには、見えていますか?

 

 この不景気の時代、一体どこにお金が転がっているのでしょうか。

 最近、特に「注文が無い、前年の半分に減った」、「お客さんが店に来ない、来ても商品を買ってくれない」という声を聞きます。

このような言葉からも、多くの経営者の視線が外に向けられていると感じられます。

 

本当は、あなたの工場の中、お店の中、作業場の中にお金は転がっています。

あなたに見えないのか、見ようとしていないのか。

 

ですが、お金が落ちていてもあるものがないと見えないのです。

それが『コスト意識』です。

『コスト意識』がないと、自分の工場やお店の中に落ちているお金を、拾うことはもちろん、見つけることも出来ません。

もったいないことです。

 

 

(2)あなたの『コスト意識』調査

 

ここで、以下の質問に答えてみてください。

 

  ①『コストとは?』という質問にすぐ答えられる

  ②『コスト意識とは?』という質問にすぐ答えられる

  ③『時間や労力もコスト』という自覚をもっている

  ④日々、業務日誌或いは予定表等を記入している

  ⑤月々の事業計画に対し、毎月フォローしている

 

  ⑥『ムリ・ムダ』を意識して、排除した仕事をしている

  ⑦自社のMan-Rateを知っている

  ⑧『コスト削減』の必要性を従業員に説いている

  ⑨自社の原価構成要素のトップ3を把握している

  ⑩社内にコスト削減提案制度を導入している

 

  ⑪自社の変動費の割合を常に把握している

  ⑫自社の固定費の割合を常に把握している

  ⑬これらを引き下げる努力をしている

  ⑭自社の損益分岐点を把握している

  ⑮自社に原価計算制度を導入している

 

如何ですか?

15項目の質問に対し、どれだけチェック出来ましたでしょうか?

例えば、質問の⑦に「自社のMan-Rateを知っている」があります。

よくセミナーの参加者にこの質問をすると、多くの方が誤解されているのに驚きます。

数式で言うと、分子に人件費がきます。

これは、年間給与、賞与・手当、福利・厚生、他の合計です。

多くの方は、分母に年間の勤務時間をもってきます。

ここで誤解されています。

この勤務時間の中には、作業をしない時間(=付加価値をつけない時間)も含まれています。

休憩時間や朝会、片付け、棚卸、修理・整備、切り替え、他等の時間です。

これらの時間は、人件費は発生しますが何も生産しません。

従って、分母は勤務時間から非作業時間を減じた直接作業時間にすべきです。

これが、“真のMan-Rate”と言えます。

“真のMan-Rate”は、非作業時間分だけ割高になるのです。

本来、このRateで受注コストの見積もりは行うべきです。

Machine-Rateの考え方も基本的には同じですが、若干異なる点があります。

機械は、稼動率を考慮して生産能力を算出し、Rateを設定されていると思いますが、それだけでは不十分です。

景気変動等により、その生産能力よりも実際の稼動が下回るからです。

そこで、その分のロスをRateに織り込んでおく必要が有ります。

話が少し脇道にそれたので元にもどします。

 

 

(3)『コスト意識』とは?

 

 ここで、私が述べるコスト意識について明確にしておきます。

 

 私はコスト意識には、広義と狭義の意味があると考えています。

広義には、『経営者のコスト削減Way』。

狭義には、『従業員のコスト削減Way』です。

 

 まず、経営者のコスト削減Wayについて述べていきます。

第一に、顧客満足

顧客満足の範囲は、製品の性能・価格・ディザイン・仕様・サービスから、今では製造コスト・販売コストにまで及んでいます。

 

第二に、コスト

経営者は、低コストで、さらに限られた人・設備から、様々な製品やサービスを生み出し続けなければなりません。

 

第三に、現場の姿

様々な製品やサービスを生み出す現場は、活きた人が、活きたものを生み出す、活きた現場でなければなりません。

 

第四に、人が主役

活きた現場では、人が主役です。

その主役である従業員に、どれだけ当事者意識をもたせて仕事にかかわらせることが出来るかが大切です。

 

第五に、問題解決

仕事を、問題を発見しそれを解決していく継続的活動と定義するなら、継続的なコスト削減活動は、当面の利益の獲得だけでなく、従業員の知識や経験の拡大につながります。

 

 次に、従業員のコスト削減Wayについて述べていきます。

それは一口に言って、ムダの発見と排除の連続です。

具体的には、工場や作業場において、

 

①作業者の“安全・作業姿勢・作業環境”を確認する

まず、作業者の安全や作業姿勢を確認する。

さらに作業環境、特に温度・湿度・照明・騒音・振動、化学薬品の使用、重い工具や治具・火器の使用等。

特に忘れてはならないのが、周囲に人がいない状態での一人作業です。

材料を取りに行っているのか、完成品を送達に行っているのか、現場で事故にあっているのか、気がつくのが遅れれば大惨事になる可能性があります。

 

②作業域の“3S”状態を確認する

“3S”とは、言うまでもなく①整理②清掃③整頓です。

この順番には、重要な意味がありますので、決して間違えないでください。

 

③“モノの流れ(INとOUT)・置き場所・置き方”を確認する

作業者に、ムダな動きをさせないという観点から観ていく。

 

④作業域の“レイアウト”を確認する

作業者が疲れにくく、また動きが少なくてすむ効率的なレイアウトになっているのか確認する。

よく見かけますが、作業者がモノを運搬するときの水平方向の距離に対しては考慮されているが、垂直方向の距離に対しては意外と忘れられています。

 

⑤作業者の作業を“動作の連続”として捉える

作業をそのまま作業として観ていたのでは、なかなかムダには気がつきません。

作業を動作の連続として観ると、多くのムダが発見できます。

動作のムダを発見するポイントは、価値を生んでいない動作を見つけることです。

では、どのような動作が価値を生んでいないかを説明します。

 

Part.1 (4種類の動作)

保持、避けられない手待ち、避けられる手待ち、休む

これらの動作は、価値を生んでいません。

 

Part.2 (10種類の動作)

探す、検査、選ぶ、考える、前置き、頭を廻す、身体の向きを変える、歩く、立つ、座る

これらの動作は、たいていの場合Part.3の動作を遅くするものとして発生します。

 

Part.3 (8種類の動作)

空手の移動、掴む、荷重移動、位置決め、組み立て、使用、分解、放す

これらは作業の基本となる動作ですが、これとてもムダが潜んでいる場合があります。

 

⑥“Before、After”を数値化する

しっかり数値で把握し、その効果を明確にします。

 

 

                                続く