Ⅲ.改革のステップ
企業の改革は、『人の心』と『気持ちの交流』が何よりも大切だと考えている。
上に立つ人間がまず、夢や目標を抱き、旗を振り、なおかつ皆でともに上昇していく意識を広げていかねばならない。
私に経営改革のコンサルティングを依頼される経営者の方々は、差異こそあれ既に上記のような意識をお持ちである。
しかし、殆どの場合、この意識を実践するアイディアを持ち合わせておられない。
もしくは、既にご自分のアイディアを実行された後の、次の新たなアイディアを模索中である場合が多い。
『人の心』と『気持ちの交流』をはかるのに用いる私の手段は、『3S活動』の実践である。
この『3S活動』は、前項で述べた『従業員の意識の覚醒』⇒『当事者意識』への気づきに対しても、大変有効である。
私は企業の経営改革を、基本的に次のステップで進めていく。
第1ステップ・・・経営者・経営幹部の意識改革
第2ステップ・・・従業員の意識の覚醒(3S活動の導入)
第3ステップ・・・自分の仕事内容、作業域、会社等の職場環境の見直し(ロスの削減)
第4ステップ・・・一般経費のコスト削減による利益の増加
第5ステップ・・・『部門別の収支』把握(部門別経営の導入)(次の経営幹部の育成)
第6ステップ・・・部門別の『事業計画』策定⇒全社事業計画へ展開
第7ステップ・・・『事前管理』の実践⇒事業計画、実績、事前管理で部門経営を推進
第8ステップ・・・『完全な自主責任経営』の導入
依頼される企業よって異なるが、第1ステップから導入される企業の場合、第5ステップまでに約1年を要す。
第6から第8ステップを実践するには、企業内のルールを変更する場合も発生する。
通常、第1から第5ステップまでの1年間契約が多いが、場合によっては期間延長もある。
作業者意識の変化度合等はなかなか数字で現せないが、6ヶ月を経過した頃になると職場環境も見違えるほど変化してくる。
一番の大きな違いは、従業員が私の顔を正面からみて挨拶してくれるようになることである。
私はこれを、ある段階までの成果の判断基準としている。
このころになると、私への個人的な相談メールも送られてくる。
7ヶ月から8ヶ月目になると、数値で把握できる大きな成果が現われてくる。
特に、在庫金額の削減や一般経費の削減が大きい。
また、『私の気づき提案』の提出件数も増加してくる。
次回に続く