--取り組み事例(製造面から)--

 

Ⅲ.ボトルネック工程の発見と解消

 

 私は、工場内の全工程において、以下に述べる項目に関し調査を実施した。

 

 しかし、実際には“欲しいデータ”の殆どが作成されていなかったため、自分で採取することになった。

 

つまり、製造工程が管理出来ていないということである。

 

私は、生産性の向上取り組みを進める一方で、現地従業員に対し、基本的な指導も同時に進めた。

 

 (1)金型およびウレタン治具切り替え時間の短縮

 

 (2)設備故障による停止時間の削減

 

 (3)始業準備作業、終業片付け作業の効率化

 

 (4)特に、作業開始時間の厳守

 

 (5)日々の機械サイクルタイム(C/T)のチェック

 

 (6)スクラップ台数の削減

 

以上の様な内容の管理を、日本のスタッフにではなく現地従業員に任せた結果

 

  4月度の生産実績台数・・・・457台 (定時時間) だったものが

 

  5月度の生産実績台数・・・・515台 (定時時間)

 

  6月度の生産実績台数・・・・547台 (定時時間)

 

目標の550台/日まで、あと一歩のところまで近づいた。

 

5月度と6月度の差(32台/日)を分析してみると、以下のようになっていた。

 

 ①設備稼動率の向上による効果・・・・22台/日

 

 ②スクラップの減少による効果・・・・・・ 0台/日

 

 ③空治具数の削減による効果・・・・・・25台/日

 

 ④サイクルタイム維持による効果・・・-15台/日

 

結果から、ほぼ狙いとした取り組み内容が効果を表していた。

 

私はさらに別の改善取り組みを実施した。

 

その内容とは、

 

 ①ウレタン治具の切り替え作業を専任化し、夜勤の間に行う

 

 ②設備の“ON”・“OFF”を手動から電気的に変更し、サイクルタイム(C/T)を守る

 

 ③生産開始前の治具の清掃作業(エアーブロー)は、前日の生産終了時に済ませる

 

 ④翌日の生産台数差分(源泉工程能力と組み立て能力との差)を当日の夜に準備しておく

 

以上のような内容を実施したことで、7月度の生産実績では、583台/日。

 

さらに同月中に、600台/日を上回る日が5日間もあった。

 

--今回の診断を終えて--

 

B社長にお願いしたこと

 

 ①日々の生産計画の達成・・・・10時、12時、15時、17時で管理する

 

   各工程別に、時間毎の目標管理を実施させる。

 

   生産計画は、製造工場においてその根幹をなす。

 

   これが達成出来ないと、お客様にご迷惑をおかけするばかりか、工場内でも多くのロスが発生する。

 

   原材料の発注、入荷、搬送、在庫管理、作業者の余剰、機械の稼動ロス発生等々、きりがない。

 

   私が最も恐れることは、現地の従業員に“生産計画は達成できなくても何ら問題ない”という認識を植え付けること。

 

 ②機械稼動率の向上(ロス時間の削減)

 

   現在の取り組みを継続、定着化する。

 

   但し、この管理責任者には現地従業員を抜擢し、彼らに任せていく。

 

 ③直接者の人員・時間管理の定着化

 

   標準工数をベースに、先ずは必要人員・非作業時間の管理から進める。

 

 ④仕掛品在庫の削減

 

   特に「源泉工程」と「組み立て工程」とが交わる部分での在庫削減が必要。

 

   これを解消するには、生産計画に連動した、この接点部門の独自の生産計画が必要。

 

 ⑤生産管理の専門家、工程管理の専門家の育成が急務である。

 

   他の工場では行われていない、独自の生産体制を採用しているのだから、このノウハウを完全に自社のものにしていくためにも、専門家の育成が望まれる。

 

 今回の依頼は、「生産性向上への取り組み」がそのメインテーマであった。

 

 しかし、一連の診断を終えた今感じることは、この会社は工程をうまく管理していく部分に独特のノウハウを持っている。

 

これをあと数年のうちに確実に自分のものとしてほしい。

 

さらに、多くの製品毎の原価を明確に設定し、これをもとに事業計画の策定や部門別の収支管理等、工場全体を上手に運営していくと、直ぐにでも今以上に利益がでてくる。

 

これらの取り組みに、現地従業員の力を大いに活用してほしい。

 

 

                                     以上