海外工場の生産性向上に向けて
数年前、(A社)海外工場のB社長から、次の様な依頼をうけた。
要約すると、以下のような内容である。
「こちらは、今造れば売れる状況にある。なんとか工場の生産性を上げて、営業の要望に応えてやりたいんや」。
「1ヶ月間くらいで何とかならんやろか?」。
私は、工場の規模や生産規模、従業員数や他もろもろの調査を行った。
そして、企画案を提示し、それが実行に移され、自分の目で成果が確認出来るまでの期間として、60日を要求した。
だが実際には、診断・指導、改善案の実施、結果の確認まで、72日間を要することになった。
このとき実感した、海外工場での所要日程見積もりの難しさは、今の私のリスク管理におおいに役立っている。
物理的な要因も含め、日本では想像できないさまざまなことが発生したが、ここでは述べないでおく。
B社長とはあまり親しいことも無かったが、直接“指名”して頂いたこともあり、東南アジアにある海外工場へ飛んだ。
この工場では、家電製品を日産500台生産していた。
うち、約30%は香港や西アジアへ輸出もしていた。
B社長は、「10%UPの550台位まで今の人員で上がらないだろうか。少しくらいの投資なら良い。」
「出来るだけ時間をかけないで、生産性を10%ほどUPしてほしい。」と話をされた。
工場を見てみると、源泉部門も持っているがこちらの所帯は小さい。
安い労務費を狙ってか、組み立て部門のほうに多くの人員を抱え、1本のメインラインで多機種の生産をおこなっている。
源泉部門はロット生産、組み立て部門はミックス生産体制である。
当然、異なる生産体制の継ぎ目には、多くの仕掛品が所狭しと並べられている。
ある部品の仕掛品を調べていると、もう1ヶ月以上はそこに置いたままと思えるほど、埃をかぶっている。
種類の異なる埃をかぶった製品が、ここだけで仕掛品在庫の50%以上はあった。
この間、これらの部品を使用する製品は、生産されなかったことを物語っている。
営業の需要予測に始まる、生産計画の立案作業もチェックする必要性を感じた。
〈次回へ続く〉